2.AYA世代のがん

AYA世代にも発症しうる“がん”

がんは、国民の2人に1人が罹患するとは言われていても、高齢者に多い病気であり、AYA世代には縁遠い病気と言う認識が強いのではないでしょうか。

たしかに、AYA世代のがんの罹患数は非常に少なく、今回の全国調査によると2015年の新規AYA世代のがん発生数は、全体のわずか3.7%でした。世界的にも4~5%と言われています。

また、AYA世代は、身体の変調を家族に相談することはなくなりますし、健康が当たり前で身体の多少の不調は気に掛けず、無理をしてでも夢に向かって努力したり、任せられた責任を全うすることが期待される年代とも言えるでしょう。このような要因から、AYA世代は病院への受診が遅れがちです。

同じ境遇の仲間に出会うことが難しい世代

AYA世代に発症するがんは、発生率が低い上に、臓器や組織型がさまざまです。25歳未満では希少がん(※卵巣・精巣腫瘍、軟部肉腫、脳腫瘍、メラノーマなど)や甲状腺がん、血液がん(白血病・リンパ腫)などが多いのが特徴です。

25歳以上ではいわゆる5大がんと呼ばれるがんの中でも女性の乳がん、子宮頸がんが著しく増加し、さらに男女とも大腸がん、胃がん、肺がんも漸増し始めます。しかし5大がんであっても、発症年齢としてAYA世代というのは非常に希ですので、同じ境遇の仲間に出会うことが難しい世代と言えます。

年齢や主訴によって受診する診療科がさまざま

AYA世代のがんと言っても、その年齢や主訴によって受診する診療科がさまざまになるために、医療者がまとまった経験をしにくいと言う現状もあります。

さらに、希少がんは、発生頻度が低いために治療開発の臨床研究を進めにくく、これまで治療成績がなかなか向上しませんでした。少ないながらもできるだけ多くの経験を集積することで治療成績を改善していくことにつながりますので、AYA世代のみなさんは、臨床研究に積極的に参加しましょう。

※希少がん:人口10万人当り6例未満の、発生が希まれながんをさします